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育児とキャリアのはざまで──ママ理学療法士に届けたい「再出発」の場所

みなさんこんにちは、AOYAMA STYLE(アオヤマスタイル)の青山です。
都内の総合病院などで理学療法士として勤務した後、2020年、練馬・豊島園の地でAOYAMA STYLE(当初の店名は「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」でした)を開業しました。

「えっ、そこにもリハビリの出番が?!」──サロン誕生に秘められた気づき

先日の記事の中でも、もし理学療法士が早期介入できていれば、患者さんの病状を食い止めることができたケースはいくらでもあるし、それこそ「○○病」「●●障害」というような具体的な診断名がつく前にこそ、リハビリは必要ではないか……などというお話をさせていただきました。

しかし、これらは理学療法士なら誰でも「そうだ」と膝を叩いてしまうことでありながら、実践される機会が見受けられません。われわれが学校で学ぶ「リハビリテーション」の定義が、「障害を持った方の全人間的復権」だと言われているがゆえかもな、と考えてしまいます。

要約すれば「障害のある方のための技術」……これが頭の片隅に残りつづけ、その後の理学療法士としての仕事にも影響しているとしたら、なかなか大変なことです。
理学療法士の仕事は、ほんとうはもっと広大な可能性を秘めているはずです。

また、それ自体が病気というわけではありませんが、妊娠、出産、育児というサイクルの中で女性の心身が感じる負担はとても大きく、そこに理学療法士としてできる仕事はもっとあるのではないか、という気づきが私にはありました。

これは比較的短期間のうちに、私の妻が三度の妊娠、出産、育児をする中で得られた気づきでもあり、当時の店名である「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」開業のきっかけともなりました。これもすでに何度もお話してきたので、「知っているよ」という読者の方も多いと思います。

今回は私が総合病院勤務という、ある意味安定した職場環境を脱してまで独立し、「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」を開業するに至った「もうひとつ」の理由についてお話したいと思います。

コラムを読んだ方や近隣な方など、今ではたくさんの方にご来院いてただいておりますが、開店当初は「ママ」「理学療法士」の二つのキーワードが一般の方の中で結びつかず、お客さんが集まらない時期がありました。また、ほかに外科的疾患を抱えたりして理学療法士が必要な方も、「ママ」という店名が気になって、来てくださらないこともありました。

しかし、あえて私が「mamasalon aoyama(ママサロンアオヤマ)」という店名にこだわった理由は、いくつかあります。これまでお話してきたとおり、育児や仕事、家庭生活の中で人知れず心身の健康を害しがちだった、ママたちのためのサロンを作りたかったことだけでは実はないのです。

名前にすべてを込めた──“ママサロン”の裏にあるもう一つの願い

口元に手をやり悩むポーズの女性と抱かれた1歳くらいの子供

病院勤務時代に何人も見てきた妊娠、出産、育児を理由に病院を辞めてしまう優秀なママ理学療法士たちとまた一緒に働きたかったという思いも、本当は込められているのです。

個人的な見解ですが、理学療法士が本当の意味で、一人前になるには、総合病院に就職し、5年〜10年くらいはかかると思います。しかし、この理学療法士として脂が乗りはじめた時期、具体的には20代後半~30代前半くらいの時期に、妊娠、出産、育児を理由に職場を去ってしまう女性理学療法士がとても多いのです。ママになったことと引き換えに、理学療法士としての人生をあきらめてしまう……とても惜しいことです。

しかし、そういう選択を多くの女性たちがせざるをえなくなる理由は、総合病院での理学療法士の雇用と賃金のシステムにあるのです。

総合病院における理学療法士の収入は、働いた時間に比例しています。いくらその人がデキる理学療法士であったところで、病院での拘束時間が全てなんですね。

役職が付けば多少、給料は増えますが、治療の現場を離れてしまうことが多いです。お給料を多めにもらいたければ、いかに長い時間働くかということしか評価基準が存在していないのです。
このように理学療法士の仕事が「質」ではなく「量」でしか評価されにくい背景には、医療保険の診療報酬制度が関与していると考えられます。1単位(20分)いくらとする、といった国が決めた料金設定だけが重視されてしまっているのです。

新米だろうが、優秀なベテラン理学療法士だろうが、患者さんへのリハビリ単価は実はみんな同じなのです。

また、できるかぎり長い時間、休まずに働ける人でないと病院では重宝されないという「現実」があり、ママ理学療法士が復職を希望しても、実現できなくしているのです。

上司との面談で主に聞かれるのは「何時から何時まで勤務できるの?」の一点ですから。本来なら喉から手が出るほど必要な優秀な理学療法士である、彼女たちの復職を妨げてしまっていたりするのですね。

私見ですが、優秀で、仕事に対する責任感が強いママ理学療法士ほど、育児が理由で仕事に支障が出ることにストレスを感じて離職もしやすいし、復職もしづらい傾向があります。

患者さんのために発揮できる〝新しい理学療法士の未来図”

理学療法士として働く女性

私は、この現実を非常に残念に感じているのです。これは将来の目標なのですが、総合病院を離職してしまったママ理学療法士たちが、ふたたび理学療法士という素晴らしい仕事に携わるチャンスに巡り合える場として、このサロンを成長させていきたいのです。

総合病院だけが、理学療法士の主たる職場というわけではありません。同時に、理学療法は、病院に入院している人のためだけの専門技術でもありません。診断名がついていないけれど、理学療法による治療を必要としている方がたくさんいらっしゃいます。そんな方々にも、理学療法士の治療を受けられる場が増えていってほしいのです。

施術者には、人体への飽くなき興味と探究が必須です。そういう向上心がなければ、本当に患者さんから求められ、それこそ指名してでも施術を受けたいと願われる施術者には絶対になれないということも感じます。

しかし、一人の理学療法士が万全を尽くしたところで、患者さんとの間には「相性」というファクターも存在するのが現実です。それゆえ、できるかぎり多くの、患者さんに「選ばれる」そして経験豊かな理学療法士を集められるといいな、と思うのです。

長い拘束時間を前提とした病院勤務からの解放は、一ヶ月これくらい働いたら、これくらいもらえるという、これまで自分がやってきた仕事と収入のイメージを再構築することになるかもしれません。しかし、それでも仕事と育児の両立を目指し、「もう一度、働きたい」というママ理学療法士たちの願いに応え、仕事の場を作りだすことの意義は大きいと思います。

患者さんから求められる理学療法士こそが本当の意味で優秀である、という考えを私はもっています。また、そういう環境のサロンだからこそ、病院勤務時代にはなかった切磋琢磨を通じて、患者さんから本当に望まれ、選ばれる理学療法士となるべく、大きな成長ができるのではないでしょうか。

今回お話したことは、私の大きな夢のひとつです。一日も早く叶うよう、パイオニアの一人として日々、仕事と自己研鑽に精進していきたいと思います。

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